ユウ
遊山メンバー
渓流ルアー釣りの基本といえば、下流から上流へ向かって釣り上がる「アップクロス」が王道です。しかし、実際のフィールドでは、アップクロスだけではどうしても攻略しにくい場面に出会うことがあります。
たとえば、水深がたっぷりある深い淵の出口や、大岩の裏側の激しいヨレ。こうした場所に潜んでいる気難しい魚たちは、猛スピードで通り過ぎていくアップクロスのルアーには、なかなか口を使ってくれません。
そこで活躍するのが、今回ご紹介する「ダウンクロス」です。流れに逆らうようにルアーを泳がせるこの手法は、いわば「粘りの釣り」。魚の目の前でルアーをじっくりと見せ続け、我慢できなくなった魚を引きずり出す、非常に奥の深いテクニックなんです。
今回は、現場ですぐに試せるダウンクロスの仕組みやメリット、そして失敗しやすいポイントをご紹介します。
「ダウンクロス」ってどんな投げ方のこと?
前回の記事で、アップクロスは「斜め上流」に向かって投げることだとお伝えしました。対する「ダウンクロス」は、その名の通り自分の立ち位置から見て「斜め下流」に向かってルアーを投げることを指します。
投げた後、ルアーは川の流れに押されながら下流へと運ばれますが、私たちがリールで糸を張ることで、ルアーは流れに逆らって泳ぐ形になります。つまり、自分に向かって泳いでくるアップクロスとは、水の当たり方が正反対になるわけですね。
この「流れに逆らって泳ぐ」という状態が、ダウンクロスならではの独特なアクションと、驚くべき釣果を生み出す源になります。
ダウンクロスが魚を惹きつける「3つの理由」
なぜ、わざわざ下流に向かって投げる必要があるのでしょうか。それは、アップクロスにはない「3つの大きな武器」があるからです。
1. 魚の目の前で「定点保持」ができる
ダウンクロスの大きな強みは、リールを巻かなくてもルアーが泳ぎ続けてくれることです。強い流れの中にルアーが入った時、糸をピンと張って待つだけで、ルアーはその場にとどまりながらプルプルと振動し続けます。
これを「ステイ(定点保持)」と呼びますが、移動スピードをほぼゼロにした状態で誘い続けられるのは、ダウンクロスだけの特権です。迷っている魚に「食う時間」をたっぷりと与えることができるんです。
2. ルアーのポテンシャルを引き出しやすい
アップクロスでは、ルアーが自分に向かって流れてくるため、しっかりと泳がせるにはかなり速くリールを巻く必要がありました。しかしダウンクロスでは、何もしなくても水流が勝手にルアーを動かしてくれます。とくにスピナーのようなルアーは、ほんの少しの抵抗でもブレードが回り続け、強いフラッシング(光の反射)で魚にアピールしてくれます。
3. 深い層(レンジ)をじっくり攻められる
アップクロスではルアーが浮き上がりやすいのに対し、ダウンクロスは流れの抵抗を利用してルアーを一定の深さに押し留めることができます。魚が底の方でじっとしているような寒い時期や、水深のある場所では、この「レンジキープ力」が大きな味方になってくれます。
ダウンクロスを試す前に、まずは基本の「アップクロス」や「キャスト」も復習しておくと安心ですよ!
ダウンクロスで気をつけるべき「一番の注意点」とは?
メリットの多いダウンクロスですが、初心者の方が最も陥りやすい失敗があります。それは、「魚に自分の姿を見つかってしまうこと」です。
前回の記事でも触れましたが、渓流魚は常に上流を向いて泳いでいます。下流に向かって投げるということは、魚の「視界の真正面」から近づいていくことになります。どんなに上手くルアーを泳がせても、魚があなたの影や足音に気づいてしまったら、警戒して口を使ってくれなくなってしまいます。
ダウンクロスを成功させるコツは、普段よりも**「3メートル遠くから投げること」**です。水際に不用意に近づまず、大きな岩の影に身を隠したり、少し高い位置からロングキャストを心がけたりして、「魚に気づかれない」ための工夫を最優先にしてみてくださいね。
現場ですぐに使える!ダウンクロスの「3つの小技」
ただ投げるだけでも効果的ですが、ちょっとした工夫でさらに魚を誘いやすくなります。現場で試してほしい小技を3つご紹介します。
1. 「U字メソッド」で魚のスイッチを入れる
斜め下流に投げたルアーが、川を横切りながら徐々に自分の真正面へと戻ってくる軌道を「U字」と呼びます。このU字の頂点(ルアーが一番下流に行き、向きを変える瞬間)は、ルアーに一番水圧がかかり、動きが激しく変わるタイミングです。この瞬間に魚が我慢できず飛び出してくることが多いので、全神経を集中させてみてください。
2. 竿先の角度で深さを変える
ダウンクロスは水圧でルアーが浮き上がりやすくなることもあります。もっと深く沈めたい時は竿先を水面近くまで下げ、逆に浅い場所を攻めたい時は竿を高く掲げてみましょう。これだけで、ルアーが泳ぐ深さを数センチ単位で調節できるんです。
3. ラインテンションだけで泳がせる
リールを巻くのを完全に止め、流れの力だけでルアーを左右にゆらゆらと漂わせるのも有効です。時々、竿先を少しだけチョンチョンと動かす「トゥイッチ」を加えると、逃げ惑う小魚のような動きを演出できて、さらなるチャンスが広がりますよ。
まとめ:アップとダウン。2つの武器を使いこなそう
「アップクロスで手早く探り、ここぞという場所はダウンクロスでじっくり攻める」。この2つの引き出しを自分の中に持っておくだけで、あなたの渓流釣りはもっと自由で、もっとエキサイティングなものになります。
どちらが正解ということはありません。その日の川の色、流れの速さ、そして魚の機嫌に合わせて、「今日はどっちが効くかな?」と試行錯誤すること自体が、渓流釣りの醍醐味なんです。
ぜひ次の釣行では、お気に入りのポイントを「下流方向」からも覗いてみてください。今まで出会えなかった、驚くような一匹に出会えるかもしれませんよ!
ユウ

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