ユウ
遊山メンバー
何度か川へ通って、ルアーを投げて、それでもなかなか釣れない。
そしてある日、突然ロッドがグッと曲がる。
必死にリールを巻いて、ネットの中を見ると、そこには初めて釣ったヤマメやイワナがいる。
この瞬間は、やっぱり特別です。
ただ、初めて釣れたときほど困るのが、「このあと何をすればいいんだ?」問題なんですよね(笑)。
写真は撮りたい。
針も外さないといけない。
魚はネットの中で暴れている。
スマホはどこだっけ……。
こんな状態になると、悪気はなくても魚を長時間水から出したり、乾いた岩へ落としたりしやすくなります。
そこでこの記事では、リリースする魚をできるだけ丁寧に扱うために、ヒットからランディング、針外し、写真撮影、リリースまでの流れを順番にまとめます。
まず覚えておきたい|釣れた後はこの7ステップ
魚が掛かってからリリースするまで、最初はこれだけ覚えておけばかなり動きやすくなります。
初めて魚が釣れた後の流れ
- 魚とのやり取りを必要以上に長引かせない
- 濡らしたランディングネットへ入れる
- ネットごと水中に置いて魚を落ち着かせる
- 魚へ触るなら先に手を濡らす
- フォーセップなどで手早く針を外す
- 写真は準備してから短時間で撮る
- 魚が自分で泳ぎ出せる状態でリリースする
ポイントは、最初から最後まで「できるだけ魚を水の中に置いておく」ことです。
魚が釣れた瞬間から、すぐ撮影会を始める必要はありません。
ネットに入ったら一度落ち着けば大丈夫です。
1. ヒットしたら「急いで巻く」でも「長く遊ぶ」でもない
魚がルアーへ食いつくと、ロッドへ「ググッ!」という感触が伝わってきます。
初めてなら、ここでテンションが一気にMAXになります(笑)。
ただ、魚が掛かったあとに猛スピードで巻いて無理やり寄せると、フックが外れたりラインが切れたりすることがあります。
逆に、「引きを長く楽しもう」と必要以上にファイトを長引かせるのも避けたいところです。
魚とのやり取りそのものが魚へ負荷をかけるため、ロッドのしなりを使いながら、無理をせず、でも必要以上に時間をかけずネットまで寄せるイメージです。
ネットは水の中で使う
魚が近づいたらランディングネットを使います。
岸へズルズル引き上げるのではなく、水中で魚をネットへ入れます。
ネットへ入ったあとも、すぐ魚ごと持ち上げなくてOKです。
ネットを水中へ浸けたままにしておけば、その間に自分も落ち着けます。
「よっしゃ釣れた!」
と一回喜んでから次へ進みましょう(笑)。
ネットの使い方はこちらでも詳しく紹介しています。
2. リリースする?持ち帰る?ここで一度決める
ネットへ入れたら、その魚をリリースするのか、持ち帰るのかも決めます。
ただし、釣れた魚なら何でも持ち帰っていいわけではありません。
川によって、
- 持ち帰れる魚種
- サイズ制限
- 尾数制限
- C&R区間
- 禁漁期間
などが決められていることがあります。
本来は釣行前に確認しておくのが一番ですが、迷った状態で自己判断して持ち帰るのは避けましょう。
この記事ではここから「リリースする魚」の扱いを中心に進めます。
持ち帰る場合の保冷・下処理・食べ方はこちらです。
3. 魚に触る前は「手を冷やす」より「しっかり濡らす」
ここは元々、渓流釣りでよく言われる部分です。
魚を触る前には、まず川の水へ手を入れます。
以前は「人間の手は魚にとって熱湯のようなものだから、手を冷やす」と説明されることもありました。
でも、ここで一番意識したいのは手を濡らしてから魚へ触ることです。
魚の体表には粘液があり、皮膚を守る役割があります。
乾いた手やタオルなどで強く触ると、この粘液や体表へ負担をかけやすくなります。
川の水へ手を入れれば結果的に手も冷えますが、
「冷たくなるまで何十秒も手を冷やさないと魚へ触れない」わけではありません。
手全体をしっかり濡らしてから、必要なときだけ触る。
これで十分分かりやすいと思います。
魚をギュッと握らない
魚はツルッと滑るので、落としたくなくてつい強く握りたくなります。
でも、魚の身体をギュッと締め付けるように持つのは避けます。
特にエラへ指を入れたり、目の周りを持ったりしないようにします。
魚を持ち上げる必要があるなら、水面近くで、片手だけでぶら下げず身体を下から支えるようにします。
そして、必要がなければ無理に持ち上げない。
ネットの中で針を外して、そのままリリースするのも十分ありです。
4. 針はできるだけ水中で、フォーセップを使って外す
魚をキャッチしたら、まず針を外します。
ここであると便利なのが、フォーセップやフックリムーバーです。
魚を岩の上へ置いて両手で格闘するより、ネットを水へ浸けたまま、フォーセップでフックをつかんだ方が作業しやすいことがあります。
フックをつかんだら、刺さっている方向を確認して、無理にこじらず外します。
ここで大事なのは、
「絶対に針を全部回収しなければ」と無理をしすぎないこと。
口の奥へ深く刺さった針は、無理に引っ張らない
魚が針を深く飲み込んでいて、外そうとすると組織を大きく傷つけそうな場合があります。
そんなときは、力ずくで引っ張るより、できるだけフックに近い位置でラインを切ってリリースするという選択があります。
実際、日本の野生イワナを使った研究でも、深く掛かった魚について、針を無理に取り除かずラインを切って放した個体の多くがその後も再捕されています。
もちろん掛かり方によって状況は違います。
「針を残せば絶対大丈夫」という意味ではありません。
ただ、口の奥へ入った針を何分もかけて無理やり引き抜くことが、いつも魚にとって良いとは限らないことは覚えておきたいところです。
5. なるべく手早く写真撮影
初めての一匹。
これは写真に残したいですよね。
私もそこを「撮影しなくていいです」とは言いたくありません。
初めて釣れた魚の写真って、何年経っても見返しますから。
ただし、以前よく言われていたような「30秒以内なら大丈夫」という固定ルールで考えるのはおすすめしません。
空気に出したときの影響は、魚種、水温、ファイト時間、魚の状態などでも変わります。
なので撮影するときは、
- 魚はネットごと水中で待たせる
- 先にスマホのカメラを起動する
- 撮影する人・構図を決める
- 魚を水面近くで持ち上げる
- 数秒で一枚撮る
- すぐ水へ戻す
この順番にしておくとかなりスムーズです。
目安は「10秒前後で一枚」くらい
「短くって言われても、どのくらい?」となりますよね。
私なら、一度持ち上げるのは10秒前後で一枚撮るくらいを実際の目安にします。
これは「10秒なら魚へ影響がない」という安全保証の数字ではありません。
撮影をダラダラ長引かせないための、自分たち側のルールです。
うまく撮れなかったら、魚を持ったままスマホを操作し続けるのではなく、一度ネットの中へ戻します。
準備して、もう一度数秒だけ撮る。
この方が魚にも、自分たちにも余裕があります。
真夏は「写真よりリリース」を選ぶ日もある
夏の渓流では、水温が高くなっている日もあります。
トラウト類では、水温が高い条件ほど、釣られたあとの扱いや空気に出される時間の影響が大きくなることが報告されています。
なので、
- ファイトが長くなってしまった
- 魚がかなり弱って見える
- 真夏で水温も高そう
- 針外しに時間がかかった
こんなときは、
「せっかく釣ったから絶対写真だけは撮る!」
ではなく、写真を諦めてそのままリリースするのもひとつです。
初めての一匹だと悩むと思います。
でも、ネットの中で一枚撮るだけでも十分記録には残ります。
6. リリースは「流れへポイッ」ではなく、自分で泳ぐまで待つ
撮影と針外しが終わったら、いよいよリリースです。
魚を水面へ放り投げるのではなく、水の中へ静かに戻します。
魚がすぐ元気に泳いでいくなら、そのまま見送ればOKです。
少し疲れていて、自分で姿勢を保ちにくそうなら、流れが強すぎない場所で魚を水中へ置き、身体をまっすぐ支えます。
必要なら、頭を上流側へ向け、緩やかな流れがエラを通る状態にします。
無理に前後へ何度もゴシゴシ動かす必要はありません。
魚が姿勢を保ち、尾びれに力が戻り、自分から泳ぎ出すまで待ちます。
そして手の中から「スッ」といなくなる。
初めての一匹なら、この瞬間までけっこう感動します(笑)。
できれば釣る前に準備しておくと、釣れた後がめちゃくちゃラク
魚が掛かってから、
「ネットどこ?」
「フォーセップどこ入れた?」
「スマホがザックの底だ!」
となると、どうしても時間がかかります。
なので入渓前に、
- ランディングネットはすぐ使える場所
- フォーセップは胸元やベストなど取り出しやすい場所
- スマホも濡らさずすぐ出せる場所
へ準備しておくとかなりラクです。
釣れる前からここまで考えると「まだ一匹も釣ってないんだけど(笑)」って感じなんですけどね。
でも、初めて釣れた瞬間は想像以上に頭が真っ白になります。
準備しておいて損はありません。
初めての一匹で覚えておきたいのは、この5つだけ
リリースするときの5つの基本
- 水中:魚はできるだけ水の中に置いておく
- 手:触る前にしっかり濡らす
- 針:道具を使って手早く外し、深い針は無理に引っ張らない
- 写真:先に準備して、持ち上げるなら数秒で
- リリース:魚が自分の力で泳ぎ出せる状態まで待つ
完璧にできなくても大丈夫です。
初めて魚が釣れたら、そりゃ慌てます(笑)。
大事なのは、魚を長時間地面へ置いたり、写真のために何十秒も持ち続けたりしないこと。
「なるべく水の中で、なるべく手早く」
これを覚えておけば、次の行動をかなり判断しやすくなります。
一匹目は、釣れた瞬間だけじゃなく帰っていく姿まで覚えている
渓流釣りを始めると、最初はとにかく「一匹釣りたい」と思います。
私も初めてイワナが釣れたときは、嬉しすぎて手が震えてしまって、うまく針を外せませんでした(笑)。
でも意外と記憶に残っているのは、釣り上げた瞬間だけじゃありません。
手を濡らして魚に触れて、針を外して、水の中で支える。
そして少ししたら、手の中からスッと泳いでいった。
あの瞬間は今でも覚えています。
初めての一匹は、一生に一度しかありません。
だから写真も残したいし、魚もできるだけ丁寧に扱いたい。
その両方でいいと思います。
先に準備して、魚が釣れたら一度落ち着いて、水の中でひとつずつ。
それだけ覚えて、最初の一匹を思い切り喜んでください。
ユウ
この記事で確認した情報
魚をリリースするときの扱い、空気に出す時間、針外し、リリース後の回復については、以下の公的機関・研究資料も確認しながらまとめています。
- NOAA Fisheries|Catch and Release Fishing Best Practices
- U.S. National Park Service|How to Safely Catch and Release
- U.S. Geological Survey|トラウトの空気曝露とリリース後の影響に関する研究
- Fisheries Research|ニジマスの水温・ハンドリングとリリース後の状態に関する研究
- Fisheries Research|深く針掛かりしたイワナのラインカット後の生残に関する研究
※魚への影響は魚種、水温、ファイト時間、掛かり方、扱う時間などによって変わります。「○秒なら必ず安全」と考えず、リリースする魚はできるだけ水中で扱い、空気に出す時間とハンドリングを短くすることを基本にしてください。また、C&R区間や魚種ごとの採捕ルールは釣行先の最新情報を確認してください。

TROUT FISHING