東京都奥多摩町、鳩ノ巣周辺の山間を流れる「越沢(こいざわ)」。多摩川へ注ぐ小さな支流で、下流側から上流へ進むにつれて岩場が増え、狭い谷の中に小滝や淵が現れる奥多摩らしい沢です。
JR青梅線・鳩ノ巣駅をアクセスの起点にできる一方、「駅から近い沢=初心者でも簡単に奥まで入れる沢」ではありません。
上流にはロッククライミングで知られる越沢バットレス周辺の険しい地形があり、越沢林道も一般車両が自由に乗り入れられる道路ではありません。
そのため越沢では、魚の釣り方だけでなく、遊漁期間・林道規制・沢の難易度・退渓できる範囲を理解したうえで釣行することが重要です。
この記事では、越沢の渓相、ヤマメ・イワナのルール、遊漁券、放流情報、鳩ノ巣からのアクセス、越沢林道、周辺に残るワサビ栽培の歴史まで、公式情報を中心に分かりやすく紹介します。
YUZAN RIVER PROFILE
鳩ノ巣駅を起点にできる小渓流。アクセスしやすい一方、上流ほど岩盤・小滝・狭い谷が増えるため、初めてなら安全に戻れる範囲で楽しむのがおすすめです。
鳩ノ巣駅から近くても、上流は岩場・小滝が続く険しい沢。駅近=初心者向けではありません。
越沢の概要と渓相
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | こいざわ |
| エリア | 東京都西多摩郡奥多摩町・鳩ノ巣周辺 |
| 水系 | 多摩川水系 |
| 管轄 | 奥多摩漁業協同組合・氷川漁業協同組合/内共第1号 |
| 漁業権対象の主な渓流魚 | ヤマメ・イワナ・ニジマス |
| 支流の遊漁期間 | 3月1日〜9月30日 |
| 固定禁漁区 | 現行遊漁規則で「越沢」と名指しされた固定禁漁区は確認できず |
| 林道 | 越沢林道は一般車両の乗り入れ規制あり |
| 公共交通 | JR青梅線・鳩ノ巣駅を起点に徒歩 |
| 周辺の特徴 | 越沢バットレス/旧山葵田地域 |
奥多摩町の内水面漁業振興計画では、古里地区の主な渓流として大丹波川・入川・越沢が挙げられています。
大丹波川のような比較的大きな支流とは違い、越沢は川幅の狭い小渓流です。
谷底には大小の岩や露出した岩盤があり、水はその間を縫うように流れます。小さな瀬、岩盤を落ちる流れ、短い淵などが連続し、上流へ進むほど谷が閉じていきます。
奥多摩観光協会の山行記録でも、越沢末端の滝や越沢林道、越沢バットレス周辺の地形が繰り返し紹介されており、単なる里川というより山地の沢としての性格が強い場所です。
越沢は同じ古里地区の入川と比較すると分かりやすい川です。
| 比較 | 越沢 | 入川 |
|---|---|---|
| 川の規模 | 小規模な沢 | 小規模な支流 |
| 上流の特徴 | 岩盤・小滝・狭い谷が目立つ | 森林内の岩場・小さな落ち込み |
| 固有の禁漁区 | 現行規則で越沢名義の固定区域は確認できず | 三つ沢周辺に明確な禁漁区あり |
| 林道 | 一般車両乗り入れ規制 | 一般車両乗り入れ規制 |
| 地域的特徴 | 越沢バットレス・山葵田の歴史 | 奥多摩さかな養殖センター入川飼育池 |
どちらも「駅のある集落から比較的近い奥多摩の小支流」ですが、越沢は上流へ入るほど岩場が強くなる点が大きな違いです。
対象魚・放流・遊漁券
越沢を含む内共第1号の漁業権対象魚には、ヤマメ・イワナ・ニジマスのほか、アユ・コイ・フナ・ウグイ・カジカが含まれています。
渓流釣りではヤマメ・イワナ・ニジマスが主な対象になりますが、「漁業権対象魚=越沢へ毎年その魚が放流されている」という意味ではありません。
越沢について公式に確認できる魚種情報と、個別の放流情報は分けて考える必要があります。
奥多摩漁協が公開している2026年の渓流放流予定では、大丹波川・平溝川・琴沢川・日原川・海沢川・水根川などの河川名が具体的に掲載されています。
一方、越沢は2026年の個別放流河川として掲載されていません。
そのため本記事では、
- 越沢では毎年○尾放流される
- 放流直後だから魚影が濃い
- ○月○日にヤマメが放流された
といった、公式に確認できない情報は掲載しません。
奥多摩漁協管内全体ではヤマメ・イワナ等の増殖事業が行われていますが、その数字を越沢単独へ割り当てて考えることもできません。
2026年シーズンの奥多摩漁協公式案内では、多摩川支流の遊漁期間は魚種を問わず3月1日から9月30日までです。
本流ではニジマスを12月31日まで狙えるため少し分かりにくいのですが、越沢は支流です。
越沢では9月30日でその年の釣りを終了すると覚えておきましょう。
| 遊漁券 | 料金 |
|---|---|
| ヤマメ・イワナ・ニジマス年券 | 8,000円 |
| 全魚種1日券 | 2,500円 |
| 1日券・現場売り | 3,500円 |
年券には本人の顔写真(縦3.5cm×横2.7cm)が必要です。
満77歳以上・身体障害者・中学生は半額、小学生以下は無料と案内されています。
1日券はセブンチケットでも購入でき、2026年の「奥多摩川本流・各支流 全魚種1日券」の商品番号は113-865です。
コンビニ券は購入した日が利用日になるため、釣行当日に購入してください。
禁漁区と基本ルール
| 魚種 | 採捕できないサイズ |
|---|---|
| ヤマメ | 12cm以下 |
| ニジマス | 12cm以下 |
| イワナ | 15cm以下 |
さらに奥多摩漁協では、ヤマメ・イワナ・ニジマス3魚種を合わせた1日あたりの総捕獲数を20尾以下としています。
小型魚が掛かった場合は速やかにリリースしてください。
内共第1号遊漁規則では、竿釣りで使用できる竿は1人1本以内です。
また危険防止・漁場管理のため、日没から日の出まで遊漁できません。
越沢は森林と谷に囲まれているため、夕方になると平地より早く暗く感じます。戻る時間まで含めて釣行を組み立てましょう。
現在の内共第1号遊漁規則の禁止区域一覧には、「越沢」と名指しされた固定禁漁区は記載されていません。
ただし、「越沢ならどこでも自由に釣ってよい」という意味ではありません。
漁業権対象魚の繁殖保護のために漁協が造成した産卵場は、標識を設置して遊漁禁止にできるほか、工事・災害・土地管理などによって立入りできない場所が生じる場合もあります。
現地に禁漁・立入禁止・工事中などの表示がある場合は必ずそれを優先してください。
越沢での釣り方
越沢のような狭い沢では、大きな川と同じ感覚で遠投する必要はありません。
重要なのは、魚が身を隠せる数メートル単位の変化です。
- 小滝や落ち込みの直下
- 岩盤際の少し深い場所
- 大きめの石の裏側
- 白泡が消える位置
- 小さな淵の流れ込み
- 岸際の木の根や岩陰
水深が浅い場所では、釣り人の動きも魚から見えやすくなります。
ポイントの真横まで歩いてから投げるより、少し距離を残して短く正確にキャストする方が魚へ余計なプレッシャーを掛けにくくなります。
地形・安全・越沢バットレス
越沢は、上流へ進むにつれて岩盤・滝・狭い谷などが現れる沢です。
釣りの装備だけで沢登りのような場所へ進む必要はありません。
- 安全に歩ける岸がなくなったら引き返す
- 滝を無理に巻かない
- 濡れた急斜面へ登らない
- 帰りに同じ場所を戻れるか確認する
- 増水時は沢へ入らない
特に一人で初めて入るなら、上流を目指すことより、安全に戻れる範囲を釣ることを優先しましょう。
上流側には越沢バットレスと呼ばれる岩壁があり、古くからロッククライミングの対象として知られています。
奥多摩観光協会の過去の資料でも、寸庭橋や松ノ木尾根方面から越沢へ入り、バットレス周辺へ至る山行が紹介されています。
ただし、これは釣り人も同じように沢を遡行すればよいという意味ではありません。
クライミング・沢登りには専用の技術と装備が必要です。釣り目的なら、危険な岩場や滝を越えてまで上流を目指さないようにしてください。
越沢のような狭い沢では、雨による増水を軽く考えないようにしましょう。
狭い谷では水量が増えると流れが岩盤の間へ集中し、普段は浅い場所でも簡単に渡れなくなることがあります。
- 前日からの降雨を確認する
- 沢に入ってから水が濁り始めたら注意する
- 水位が上がったと感じたら早めに退渓する
- 雷雨予報の日は無理に入らない
- 逃げ場のないゴルジュへ増水時に入らない
特に上流の狭い地形では、増水後に「来た場所を戻れない」という状況を作らないことが重要です。
アクセス・林道・駐車
公共交通で越沢方面へ向かう場合は、JR青梅線鳩ノ巣駅が分かりやすい起点です。
鳩ノ巣周辺から多摩川南岸側の山間へ入り、越沢方面へ向かうことができます。
ただし、登山・クライミング記録で紹介されているアプローチを、そのまま安全な釣り用入渓ルートとして利用できるとは限りません。
本記事では危険な渡渉や岩場を含む詳細な入渓ルートは案内しません。
東京都森林事務所の2026年10月2日の確認情報では、越沢林道は「通行規制(起点に柵有)」となっています。
東京都森林事務所では「通行規制」を、通行は可能であるが、林業関係者以外の車両の乗り入れを規制している状態と定義しています。
したがって、釣り人が自家用車で越沢林道の奥まで自由に進めるわけではありません。
林道は道幅が狭く、防護柵がない場所、未舗装区間、落石の危険などもあるため、釣行直前に最新の規制状況を確認してください。
車で鳩ノ巣周辺まで来る場合、奥多摩町が案内している奥多摩鳩ノ巣観光駐車場があります。
所在地は東京都西多摩郡奥多摩町棚澤409。現在は有料駐車場として運営されています。
料金・満空状況などは変わる可能性があるため、利用前に奥多摩町の最新情報を確認してください。
林道ゲート、路肩、退避スペース、民有地などを釣り用駐車場所として勝手に利用しないようにしましょう。
ワサビ栽培と越沢の歴史
越沢には、釣りやロッククライミングとは別の地域史もあります。
奥多摩町が実施した山葵田調査では、氷川地区の調査対象として越沢も挙げられています。
また、昭和40年代後半の奥多摩町のワサビ田分布をまとめた資料では、「越沢谷 10a・7戸」という記録が残っています。
奥多摩のワサビ栽培では、山間の冷たい流水を利用した小規模な山葵田が谷筋につくられてきました。
越沢も、こうした奥多摩の山葵文化と関わりのある谷のひとつだったことが分かります。
山葵田が存在したことから、越沢に冷たい沢水が利用されてきた歴史は分かります。
しかし、「ワサビが育つからヤマメが大量にいる」「ワサビ田がある沢だから魚影が濃い」ということまでは資料から判断できません。
本記事ではワサビ栽培を越沢の地域文化・土地利用の歴史として紹介し、魚影や釣果とは直接結び付けていません。
よくある質問
A. 「こいざわ」と読みます。東京都森林事務所の林道資料でも「越沢(こいざわ)」と表記されています。
A. 越沢を含む内共第1号ではヤマメ・イワナ・ニジマスが漁業権対象魚です。ただし、2026年の越沢単独の放流日・放流量は公式情報から確認できていません。
A. 奥多摩漁協管内の支流なので、遊漁期間は3月1日から9月30日までです。
A. 現行の内共第1号遊漁規則では、「越沢」と名指しされた固定の禁止区域は確認できません。ただし、現地で禁漁・立入禁止等の表示がある場所では釣りをしないでください。
A. 2026年の奥多摩漁協公式放流日一覧には、越沢は個別放流河川として掲載されていません。
A. 一般車両が自由に乗り入れられる状態ではありません。東京都森林事務所では越沢林道を「通行規制」としています。
A. JR青梅線・鳩ノ巣駅をアクセスの起点にできます。ただし、安全な入渓地点は現地状況によって変わります。
A. 駅からアクセスを組み立てやすい一方、上流には岩場・小滝・狭い谷があります。初めてなら安全に戻れる範囲から始めるのがおすすめです。
A. 奥多摩町の山葵田調査では越沢が調査対象に含まれ、昭和40年代後半の資料には「越沢谷 10a・7戸」のワサビ田が記録されています。
本記事の遊漁期間・遊漁料金・放流情報など年度によって変わる内容は、2026年シーズンの奥多摩漁業協同組合公式情報をもとにしています。越沢林道については東京都森林事務所の2026年10月2日現在の情報を確認しています。林道、登山道、沢沿いの状況は災害・工事等で変わるため、釣行前には奥多摩漁業協同組合・東京都森林事務所・奥多摩町等の最新情報と現地表示を必ず確認してください。
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