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フジ
夏の渓流釣りは、本当に気持ちがいいです。
木陰を歩いて、冷たい川へ足を入れる。
真夏の街から来ると、「ここだけ別世界だな」と感じる日もあります。
でも、そこで忘れたくないのが熱中症です。
渓流釣りでは、川を歩くだけでなく、岩を越えたり、斜面を登ったり、入渓・退渓で山道を歩いたりします。
さらにウェーダーや長袖など、身を守るための装備によって熱が逃げにくくなることもあります。
川の水が冷たいからといって、自分の身体まで十分に冷えているとは限りません。
この記事では、夏の渓流釣りで意識したい熱中症の予防、気をつけたい症状、体調がおかしいときの対処まで、初心者向けに整理します。
渓流は涼しく感じても、熱中症にはなる
僕も渓流釣りを始めた頃は、「山だし、川に入ってるし、街より涼しいから大丈夫だろう」と考えていました。
でも実際に釣り上がってみると、意外なくらい汗をかきます。
熱中症は、高温多湿な環境などで身体の水分・塩分のバランスや体温調節がうまくいかなくなることで起こります。
渓流釣りでは、そこに長時間の身体活動が加わります。
- 川の中を歩く
- 大きな岩を越える
- 入渓・退渓で斜面を歩く
- ポイントを探して移動し続ける
- 装備によって熱がこもりやすくなる
朝は涼しくても、昼に近づくにつれて気温や日差しが強くなることもあります。
「川に入っているから平気」と決めつけず、普通のアウトドア活動と同じように暑さへ備えておきましょう。
まず釣行前に「今日は暑さがどこまで上がるか」を見る
熱中症対策は、川へ着いてから始めるものではありません。
出発前に天気予報だけでなく、環境省が公開している暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートも確認しておくと、暑さのリスクを考える材料になります。
WBGTは気温だけを見るものではなく、湿度や日射なども考慮して熱中症リスクを評価するための指標です。
山の中では、標高・日陰・風・地形などによって実際の環境は変わるので、最寄り地点の数値だけで現場の安全を保証できるわけではありません。
それでも、朝の段階で「今日はかなり厳しい暑さになりそう」と分かっていれば、
- 釣行時間を短くする
- 暑くなる時間帯まで粘らない
- 休憩を多めに入れる
- 無理そうなら別日にする
といった判断ができます。
魚はまた狙えます。
暑さが厳しい日に「せっかく来たから」と無理して上流へ進む必要はありません。
水分補給は「喉が渇いてから」ではなく、こまめに
夏の渓流で一番忘れやすいのが水分補給です。
一投したら次のポイントが気になる。
そこを釣ったら、さらに上の落ち込みが見える。
気付けば「あと一ヶ所」が5ヶ所くらい続いています(笑)。
厚生労働省では、のどの渇きを感じていなくても、こまめに水分を補給するよう案内しています。
僕は、
- 入渓前
- 移動の区切り
- 休憩するとき
- 退渓へ入る前
など、「飲むタイミング」を作るように意識しています。
渓流ではコンビニも自動販売機もありません。
途中で足りなくならないよう、釣行時間や暑さを考えて十分な飲料水を最初から持って入ることが大切です。
汗を多くかく日は、水分だけでなく塩分も意識する
汗をかくと、水分だけでなく塩分も失われます。
環境省や厚生労働省でも、暑い時期には水分とあわせて塩分を補給することを勧めています。
大量に汗をかくような日は、スポーツドリンクなど塩分を含む飲料も使いやすい選択肢です。
塩タブレットや塩気のある食品を利用する方法もありますが、「塩を取れば水を飲まなくても大丈夫」というものではありません。
まずは水分補給ができる状態を作り、そのうえで汗の量に応じて塩分も補うと考えましょう。
また、持病などで医師から水分や塩分の摂取について指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
お菓子やゼリーは「行動食」。水分補給とは分けて考える
夏の渓流では、水分だけでなくエネルギーも消耗します。
僕は軽く食べられるものを持っていくことがあります。
- スポーツ羊羹
- ゼリー飲料
- 塩気のあるお菓子
- 食べやすい行動食
こうしたものは、長く歩いたときのエネルギー補給として便利です。
ただし、ゼリーやお菓子だけで熱中症対策が完了するわけではありません。
飲料水をきちんと持ち、こまめに飲むことが基本。
行動食はその補助として考えるのが分かりやすいと思います。
「ちょっと変だな」は休憩のサイン
熱中症というと、いきなり倒れるイメージを持つかもしれません。
でも最初から意識を失うとは限りません。
厚生労働省では、熱中症が疑われる症状として、
- めまい・立ちくらみ
- 大量の発汗
- 筋肉痛・こむら返り
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- 倦怠感・虚脱感
- いつもと様子が違う
などを挙げています。
渓流では「脚が重いな」「今日は妙に疲れるな」という感覚を、単なる歩き疲れだと思って進みたくなることがあります。
もちろん疲労=熱中症ではありません。
ただ、暑い日に体調の違和感が出ているなら、無理に原因を決めつけず、いったん釣りを止めて休む方が安全です。
特にめまい・頭痛・吐き気など熱中症を疑う症状がある状態で、濡れた岩や流れの中を歩き続けるのは危険です。
熱中症かも?と思ったら、まず釣りを止める
自分や同行者に熱中症を疑う症状が出たら、「あと一匹」ではなく、その時点で釣りは中断します。
基本となる対応は、次の流れです。
- 安全で涼しい場所へ移動する
- 衣服をゆるめ、身体を冷やす
- 自分で飲める状態なら、水分・塩分を補給する
- 状態が改善しない、自力で飲めない、意識がおかしい場合は医療につなぐ
渓流ではまず、水際や滑りやすい場所から離れ、安全に休める日陰などへ移動します。
身体を冷やすときは、衣服をゆるめ、風を当てたり、冷たいタオルなどを使ったりします。
首の周り、脇の下、足の付け根などを冷やす方法も案内されています。
川が目の前にあると「水に入れば一気に冷える」と考えそうになりますが、体調が悪い状態で流れへ入ると転倒や水難につながる可能性があります。
無理に川へ入らず、安全な場所で身体を冷やしましょう。
ここは覚えておきたい
呼びかけに反応しない、返事がおかしい、意識がない場合は、ためらわず119番へ。
また、意識があっても自分で水分を飲めない場合は、無理に飲ませず医療機関につなぎます。
救急車を待つ間も、安全な涼しい場所で衣服をゆるめ、身体を冷やします。
意識がはっきりしていて自分で飲める場合でも、休憩・冷却・水分と塩分の補給を行って症状が改善しないなら、無理に釣りへ戻らず医療機関へ相談してください。
ソロ釣行ほど「まだ行ける」の前に帰る
渓流釣りで少し厄介なのが、体調を崩した場所から駐車場所や駅まで距離があることです。
普段なら30分で戻れる道でも、体調が悪い状態では同じようには歩けません。
特に一人で釣りをしているなら、症状が強くなる前の判断が重要です。
僕自身、夏の渓流で「まだ大丈夫」と歩き続けて、思った以上に疲労が溜まっていたことがあります。
それ以来、上流へ進むときは「ここから帰る分の体力も必要なんだよな」と考えるようになりました。
まだ元気な段階で、
- いつもより疲れ方が早い
- 水分が予定より減っている
- 日差しや暑さが強くなってきた
- 退渓まで距離が残っている
と感じたら、早めに切り上げるのも立派な判断です。
一方、すでにめまいや吐き気、意識の異常などが出ているなら、「頑張って一人で下山・退渓すればいい」とは考えないでください。
状態に応じて休憩・救助要請・医療機関への搬送を優先します。
夏装備は大切。でも熱中症対策とは役割を分けて考える
夏の渓流では、ウェアや装備を工夫することで暑さを和らげやすくなります。
環境省でも、暑い時期の服装として、体温がこもりにくく、風通しがよく、汗を逃がしやすいものなどを挙げています。
ただ、装備だけで熱中症を防げるわけではありません。
暑さを避ける・休む・水分と塩分を補給する・体調変化を見逃さない。
この基本があったうえで、夏向けのウェアやゲータースタイルを組み合わせるイメージです。
夏の渓流は「涼しく感じる日」ほど油断しない
冷たい川に入って、木陰の中でロッドを振る。
夏の渓流は、街の暑さを忘れさせてくれる本当に気持ちのいい場所です。
だからこそ、「今日は快適だから大丈夫」と身体からのサインを見落とさないようにしたいですね。
釣行前には暑さを確認する。
水分を十分に持って入る。
喉が渇く前からこまめに飲む。
汗が多い日は塩分も補う。
少しおかしいと思ったら釣りを止めて休む。
そして、意識がおかしい・自力で水分が飲めないといった状態なら、自分たちだけで何とかしようとしない。
ここまで覚えておけば、夏の渓流を必要以上に怖がる必要はありません。
魚を追いかけるのは楽しいですが、帰り道まで含めて一日の釣り。
少し余裕を残して帰れるくらいが、次の釣行も楽しめるちょうどいい終わり方だと思います。
フジ
この記事で確認した情報
熱中症の予防・症状・応急処置については、以下の公的情報を確認しています。
- 厚生労働省|熱中症予防のために
- 厚生労働省|熱中症が疑われる人を見かけたら
- 環境省|熱中症環境保健マニュアル ~総論~(2025年7月版)
- 環境省|熱中症予防情報サイト(暑さ指数・熱中症警戒アラート)
※本記事は夏の渓流釣りでの一般的な熱中症予防と応急処置を紹介するものです。体調がおかしい場合は無理に釣りを続けず、症状に応じて医療機関への相談や救急要請を行ってください。

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