東京都八王子市上恩方町を流れる「案下川(あんげがわ)」。和田峠・陣馬山周辺の山地から流れ出し、陣馬街道に沿うように上恩方の谷を下り、関場付近で醍醐川と合流して北浅川へつながる源流河川です。
案下川の特徴は、山奥の渓流でありながら陣馬街道と西東京バスの路線が川沿いに続いていること。
同じ上恩方を流れる醍醐川は関場からバス路線を外れて徒歩主体になりますが、案下川は高尾駅から「陣馬高原下」までバスで谷の奥へ入ることができます。
また、恩方漁業協同組合によってヤマメの放流が行われている上流域でもあり、解禁時には案下川の第2堰堤直下より上流がヤマメ放流区域として案内されています。
今回は、案下川の渓相、ヤマメの解禁・放流、遊漁券、禁漁期間、陣馬街道との関係、高尾駅からのアクセスまで、公式情報を中心に整理します。
YUZAN RIVER PROFILE
陣馬街道とバス路線に沿って源流側までアクセスしやすいヤマメ渓流。公共交通で区間を選びやすい一方、上流ほど川幅が狭くなり、10月以降は全魚種の遊漁が禁止されます。
醍醐川との合流点より上流は、10月1日から翌年のマス類解禁日前日まで全魚種の遊漁が禁止されます。C&Rでも釣れません。
案下川の概要と渓相
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 東京都八王子市上恩方町 |
| 水系 | 多摩川水系・浅川上流域 |
| 主な渓流魚 | ヤマメ |
| 管轄 | 恩方漁業協同組合 |
| 漁場 | 内共第5号 |
| ヤマメ遊漁期間 | 解禁日〜9月30日 |
| 上流域 | 10月1日から翌年のマス類解禁前まで遊漁禁止 |
| 主な道路 | 陣馬街道 |
| 公共交通 | 高尾駅北口〜陣馬高原下 |
| 特徴 | 陣馬街道とバス路線に沿って源流域へアクセスできるヤマメ渓流 |
案下川は、八王子市西部の上恩方町を流れる浅川水系の源流河川です。
上流側には和田峠や陣馬山があり、谷筋には現在の陣馬街道が通っています。
川は山奥だけを流れる完全な原生渓流ではなく、道路や集落と比較的近い距離を保ちながら流れる区間が多いのが特徴です。
浅い瀬、小さな淵、岩の裏にできる緩流帯などが連続し、上流へ進むにつれて川幅が狭く、谷の雰囲気も濃くなっていきます。
奥多摩の険しい谷へ直接入る渓流とは違い、陣馬街道をたどりながら少しずつ源流へ近づいていくのが案下川らしい釣行スタイルです。
案下川を理解するうえで重要な場所が「関場」です。
案下川を下ってくると、関場付近で醍醐川と合流し、その下流は北浅川へと続いていきます。
ここは釣り場の地理だけでなく、秋以降の禁漁区域を理解するうえでも重要です。
東京都の遊漁規則では、「醍醐川と案下川の合流点より上流」が秋季の遊漁禁止区域として指定されています。
ヤマメ・放流・遊漁券
恩方漁協では北浅川水系で複数の魚種を管理していますが、案下川上流で渓流釣りの中心になるのはヤマメです。
解禁時の公式放流案内でも、案下川上流はヤマメの放流場所として明記されています。
2026年シーズンのニジマス・ヤマメ解禁は4月5日午前6時でした。
恩方漁協の公式解禁案内では、ヤマメ成魚600尾について次の2河川が放流場所として指定されています。
- 醍醐川:第3堰堤直下より上流
- 案下川:第2堰堤直下より上流
ただし、600尾すべてが案下川へ放流されたという意味ではありません。
公式資料では600尾に対して醍醐川・案下川の2河川が放流場所として示されており、河川ごとの配分までは公表されていません。
恩方漁協の河川案内では、5月・6月にそれぞれ300尾のヤマメを醍醐川・案下川へ放流する計画が案内されています。
さらに7月には、ニジマスと混合で200尾を放流する計画も掲載されています。
これらも案下川単独の尾数ではありません。
醍醐川と案下川を含む上流域で継続的なヤマメ増殖を行っていると理解するのが適切です。
| 遊漁券 | 料金 |
|---|---|
| ニジマス・ヤマメ・雑魚 年券 | 6,000円 |
| ニジマス・ヤマメ・雑魚 日券 | 1,500円 |
| 日券・現場売り | 1,800円 |
| 解禁日券 | 4,000円 |
| 雑魚日券 | 500円 |
| 全魚種年券 | 9,000円 ※電子遊漁券のみ |
通常の日券は1,500円ですが、ニジマス・ヤマメ解禁日のみ解禁日券4,000円となります。
年券には縦45mm×横35mmの写真が必要です。
77歳以上の方・障害者手帳を持つ方は半額、小学生以下は無料と案内されています。
電子遊漁券にも対応しているため、早朝から釣る場合は事前に購入しておくとスムーズです。
禁漁期間と基本ルール
案下川で特に重要なのが、秋以降のルールです。
東京都の内共第5号遊漁規則では、醍醐川と案下川の合流点より上流は、10月1日から翌年のマス類解禁日前日まで遊漁禁止と定められています。
ヤマメだけが禁漁になるわけではありません。
ニジマス・ウグイ・カジカなどを含め、この区域では期間中の遊漁そのものが禁止されます。
9月30日でその年の案下川釣行を終えると覚えておくと分かりやすいでしょう。
北浅川本流に設定される秋季C&R区間とも別物です。「リリースすれば案下川でも釣れる」というルールではありません。
東京都の内共第5号遊漁規則では、ヤマメ・ニジマスともに全長12cm以下は採捕できません。
小型魚が掛かった場合は持ち帰らず、速やかに川へ戻してください。
また、ヤマメは1人1日20尾を超えて保持することができません。
内共第5号遊漁規則では、危険防止と漁場管理のため、日没から日の出まで遊漁することはできません。
上流へ進むと山が近く、実際の日没時刻より早く谷の中が暗く感じることもあります。
バスを利用する場合は帰りの時刻も考え、明るいうちに安全な道路へ戻れるよう余裕を持って退渓しましょう。
案下川での釣り方
案下川は、長いキャストで広範囲を探るような川ではありません。
ルアーでヤマメを狙うなら、次のような小さな変化を丁寧に探ってみましょう。
- 落ち込み直下の少し深い場所
- 岩の裏側にできる反転流
- 白泡が切れる場所
- 流芯と岸際の緩い流れの境目
- 護岸際や岩陰の深み
- 浅瀬の中にある小さなポケット
上流へ進むほど川幅も狭くなり、周囲の木や枝との距離も近くなります。
取り回しのよい短めのロッドを使い、遠投よりも一投目を正確に入れることを意識すると釣りやすいでしょう。
陣馬街道・関場の歴史
案下川の記事で外せないのが、川と並んで続く陣馬街道です。
八王子市の文化財資料では、現在の陣馬街道は古く「案下道」や佐野川往還などと呼ばれ、甲州街道の脇往還として使われていたことが紹介されています。
つまり「案下」という名前は川だけに残っているのではなく、この谷を通る古い交通路の名称にも使われていました。
現在でも陣馬街道を進むと道路のすぐ近くに川が見える区間が多く、道と川を一緒にたどる感覚が案下川の大きな特徴です。
醍醐川との合流地点付近にある「関場」という地名にも歴史があります。
八王子市によると、この付近の高留には江戸時代に口留番所が設けられていました。
甲州街道の裏街道にあたる佐野川往還の交通を監視するための番所で、物資の移出監視や警備の役割を担い、明治2年(1869年)まで村持ちで管理されていたとされています。
釣り場の境界を理解する目印である関場が、昔から交通の要所だったと知ると、案下川と陣馬街道の関係もより分かりやすくなります。
アクセス・駐車
公共交通で案下川へ向かう場合の起点は、JR中央線・京王高尾線の高尾駅です。
高尾駅北口1番のりばから、西東京バス美32「陣馬高原下」行を利用できます。
恩方漁協も、高尾駅から「陣馬高原下」行を利用し、大久保〜陣馬高原下の各バス停で下車する方法を案内しています。
醍醐川の場合は関場付近からバス路線を離れますが、案下川では陣馬街道とバス路線がそのまま上流へ続きます。
美32系統の終点が陣馬高原下です。
ここから先、和田峠方面へはバスではなく徒歩になります。
道路幅が狭い場所があり、登山者・自転車・車両も通行するため、道路上に釣具を広げたり通行を妨げたりしないよう注意してください。
案下川は陣馬街道沿いを流れるため、車で移動しながら川を確認しやすい一方、道路幅の狭い場所が多くあります。
今回の調査では、案下川の自然河川釣行者向けに公式指定された専用駐車場を確認できていません。
- 道路の退避場所へ長時間駐車しない
- バス停や転回スペースをふさがない
- 民家・林業関係の入口をふさがない
- 私有地へ無断で駐車しない
- 現地の駐車禁止表示を優先する
醍醐川との違い
案下川と醍醐川を釣り分けるなら、「関場」を覚えておくと分かりやすくなります。
| 比較 | 案下川 | 醍醐川 |
|---|---|---|
| 関場から先 | 陣馬街道・バス路線沿い | 陣馬街道から分岐 |
| 公共交通 | 陣馬高原下までバス利用可能 | 上流ほど徒歩主体 |
| 川の雰囲気 | 山道・集落と並行する谷川 | より小規模で閉じた源流型 |
| 主な対象魚 | ヤマメ | ヤマメ |
| 秋以降 | 上流は全面禁漁 | 上流は全面禁漁 |
どちらも同じ恩方漁協の上流河川ですが、アクセス方法と谷の性格がかなり違います。
案下川は、高尾駅からバスで陣馬街道をたどりながらヤマメのいる源流域へ近づけることが大きな個性です。
醍醐川については、醍醐川の渓流釣りガイドで詳しく紹介しています。
よくある質問
A. はい。恩方漁協は案下川上流をヤマメの公式放流場所として案内しています。解禁時は第2堰堤直下より上流が放流区域として示されています。
A. 解禁日は年度ごとに公示されます。2026年シーズンは4月5日午前6時にニジマス・ヤマメが解禁されました。ヤマメは9月30日までです。
A. 600尾は案下川だけの数字ではありません。恩方漁協の解禁案内では、ヤマメ成魚600尾に対して醍醐川・案下川の2河川が放流場所として指定されています。
A. いいえ。案下川は醍醐川との合流点より上流が10月1日から翌年のマス類解禁日前日まで遊漁禁止です。C&Rなら釣れる区域ではありません。
A. 持ち帰れません。ヤマメ・ニジマスは全長12cm以下の採捕が禁止されています。ヤマメは1人1日20尾までの保持制限もあります。
A. はい。高尾駅北口1番のりばから美32「陣馬高原下」行を利用できます。恩方漁協では大久保〜陣馬高原下の各バス停からのアクセスを案内しています。
A. 案下川の方が上流まで公共交通を利用しやすいといえます。案下川沿いには陣馬高原下までバス路線が続きますが、醍醐川は関場付近からバス路線を離れます。
A. 現在の陣馬街道は、古く「案下道」とも呼ばれていました。川と道が同じ谷筋を通っており、関場周辺には江戸時代の口留番所の歴史も残っています。
本記事の解禁日・遊漁料金・放流計画など年度によって変わる情報は、2026年シーズンの恩方漁業協同組合公式情報をもとにしています。遊漁規則、放流予定、バスダイヤ、道路状況などは変更される場合があるため、実際の釣行前には恩方漁業協同組合・東京都・西東京バス等の最新情報と現地表示をご確認ください。
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