遊山メンバー
ユウ
冷たい水に立ち込み、自然の音に包まれながらルアーを投げる渓流フィッシング。
釣りそのものは最高に楽しいのですが、川を釣り上がっていく(遡行:そこう)のは、想像以上に過酷なスポーツです。
「よし、今日は夕方まで釣りまくるぞ!」と気合を入れて入渓しても、数時間後には太ももやふくらはぎがパンパンになり、足が上がらなくなってルアーの操作どころではなくなってしまった経験は、初心者なら誰にでもあるはずです。
でも安心してください。足がすぐに疲れてしまうのは、あなたが体力不足だからではなく、渓流ならではの「歩き方のコツ」を知らないだけかもしれません。
この記事では、私が実際に川で転びまくって痛い思いをしながら学んだ「滑る石の見分け方」や、無駄な体力を使わないための「すり足」、そして安全に川を横切るルート選びについてお話しします。
なぜ渓流はすぐ足がパンパンになるのか?(1km=平地5kmの法則)
渓流歩きは想像以上にハードです。そもそも、なぜあんなに足が疲れてしまうのでしょうか。
よく釣り人の間では「川の中を1km進むのは、平らなアスファルトを5km歩くのと同じくらい体力を消耗する」と言われます。
理由は大きく3つあります。
- 水圧の抵抗: 膝まで水に浸かって歩くだけで、常に前に進むための強い抵抗を受け続けます。ウェーダーを着ていると、水の抵抗はさらに大きくなります。
- 足場の悪さ: 丸い石、尖った石、ヌルヌルの苔。一歩踏み出すごとに足首や膝でバランスを取るため、普段使わないインナーマッスルを強烈に消耗します。
- 大きな高低差: 大岩をよじ登ったり、段差を越えたりと、スクワットを繰り返しているような状態になります。
これだけの悪条件が揃っているのですから、何も考えずにただひたすら歩いていれば、お昼前に足が限界を迎えるのは当然のことなのです。
転びまくって学んだ「絶対に踏んではいけない滑る石」の見分け方
渓流で最も体力を奪うのが「滑ってバランスを崩す」ことです。転びそうになって「おっとっと!」と踏ん張るたびに、足腰の筋肉が悲鳴を上げます。
実は、川底にある石の色をよく観察するだけで、安全を見極めることができるんです。
フェルトソールのウェイディングシューズを履いていても、絶対に滑る石が存在します。私は初心者の頃、これを知らずにアザだらけになりました。
危険な石:黒、茶色、緑色のツヤツヤした石
水に浸かっている石の中で、色が濃くてツヤッと光っている石は、水垢(ヌル)や苔が分厚くコーティングされています。これは氷の上を歩くのと同じくらい滑る、いわば「地雷」です。絶対に体重を預けてはいけません。
安全な石:白っぽい、ザラザラした石
水流が直接当たって苔が洗い流されている石や、水から頭を出して乾いている白っぽい石は、比較的グリップが効きやすいです。歩く時は、無意識にこの「白い石・ザラザラした石」を探して足を乗せる癖をつけてください。
また、大きな石を越える時は、石の「尖った頂点」ではなく、「平らな面」や「石と石の間の隙間」に足を置くようにすると、足首が捻れず疲労を軽減できます。
初心者必見!1日楽しむための「疲れない歩き方」
滑る石の見分け方が分かったら、次は実際の歩き方です。川の中ではカカトを浮かせない「すり足」が基本になります。
基本は忍者歩き(すり足)
平地のようにカカトを高く上げて大股で歩くと、足底が石の形にフィットする前に体重が乗ってしまい、一気に滑ります。
川の中では、足の裏を川底から離さず、ズリズリと滑らせるような「すり足」で、小股で進むのが安全です。足の裏全体で石の形状や滑りやすさを探りながら、ゆっくり体重を移動させます。
究極のコツ:「極力、川に入らない」
これは私が実践しているズルいコツなのですが(笑)、釣りに夢中になると、ついつい水の中に入りっぱなしになりがちですよね。
しかし、水圧を受けない陸上(川原の石の上や砂地)を歩けるなら、入らなくていい時は極力水の中に入らず、陸を歩いた方が体力の消耗は1/3で済みます。
「ポイントにアプローチする時だけそっと水に入り、投げ終わったらまた陸に上がって移動する」
これを意識するだけで、夕方までの足の残り体力が劇的に変わります。ゲータースタイルのように身軽な装備であれば、陸への上り下りもさらに楽になりますよ。
怖かった経験から伝える、川を横切る(渡渉)時の安全なルート選び
釣り上がりを続けていると、岸壁にぶつかり、どうしても対岸へ川を横切らなければならない(渡渉:としょう)場面が出てきます。
これが渓流歩きの中で一番危険で、怖い思いをする瞬間です。安全に渡るためには、深くて狭い場所を避けることが絶対条件になります。
渡るルートを探す時、初心者は「水面が波立っていない、静かで深い場所」を選びがちですが、これは大間違いです。狭くて深い場所は、水が集まって水圧が強烈になっており、膝より上まで水が来ると、人間の足なんて簡単にすくわれてしまいます。
安全に渡るなら、一見流れが速く波立って見えても「水深が浅く、川幅が一番広くなっている場所(瀬のヒラキなど)」を選んでください。
水深がスネ程度なら水圧を受けにくく、はるかに安全に渡ることができます。
渡る際は、川の流れに対して正面を向かず、流れに対して体を斜め(カニ歩き)にして、杖代わりに丈夫な木の枝(なければロッドのグリップエンド)を突きながら、3点支持で慎重に進むのが安全対策の鉄則です。
疲れたら無理しない。川原でコーヒーを飲んで最高の癒やしタイムを
最後に、一番大切な心構えをお伝えします。渓流釣りは決して競争ではありません。
「足が痛いな」「疲れたな」と思ったら、絶対に無理をして先へ進まないでください。
疲労が溜まると足元がおぼつかなくなり、転倒やケガのリスクが跳ね上がります。
足が疲れたら、乾いた日当たりの良い大きな岩を見つけて、ドカッと腰を下ろしましょう。
冷たい水音を聞きながら、リュックに忍ばせてきたアウトドア用のお気に入りコーヒーギアでお湯を沸かして一杯飲む。
釣れなくても、歩けなくても、この自然の中に身を置いている時間そのものが、私たちにとって最高の贅沢であり、癒やしですよね。
自分の体力と相談しながら、のんびりと渓流の「歩き」を楽しんでくださいね!
初心者の頃、私は「とにかく1匹でも多く釣りたい!」と焦って、水圧の強い深い場所を無理して進んだり、歩きにくい石の上ばかりを選んでしまったりして、結果的に昼過ぎに両足がつって動けなくなった苦い経験があります(笑)。今では「いかに陸を歩いてサボるか」「どこでコーヒー休憩を入れるか」ばかり考えていますが、不思議と肩の力を抜いて歩いている時の方が、周りの景色も見えて釣果も良くなったりするんですよね。無理せず、安全第一でいきましょう!
歩き方のコツを掴んだら、疲労を軽減する足元の装備や、休憩を楽しむためのグッズもチェックしてみましょう!

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