遊山メンバー
ユウ
朝靄が立ち込める静かな渓流で、美しいヤマメやイワナを釣り上げる。
そして夕暮れ時、パチパチと爆ぜる焚き火の音を聞きながら、自分で釣った魚をじっくりと塩焼きにしてかぶりつく。
これこそ、僕たちアングラーが夢見る「最高のアウトドアの休日」ではないでしょうか。
渓流釣りとキャンプの相性は抜群です。しかし、いざ釣った魚を焚き火で焼こうとすると、「内臓ってどうするの?」「串はどうやって刺すの?」「火が強すぎて真っ黒になっちゃった!」と、予想外の壁にぶつかることがよくあります。
この記事では、初心者でも迷わずにできる魚の下処理から、お店のように美しく焼き上がる「踊り串」の刺し方、そして一番難しい「焚き火の火加減」について、僕の苦い失敗談を交えながらお話ししていきます!
釣り場とキャンプ場の事前リサーチが成功の鍵
まず、渓流釣りの朝はとても早いです。日の出とともに川へ入る「朝マズメ」が一番釣れる時間帯だからです。
そのため、「釣り場からなるべく近いキャンプ場」を事前に探して予約しておくことが、1日を快適に過ごす最大のポイントになります。
川沿いのキャンプ場なら、テントを張ってから歩いて釣りに行ける場所も多いです。季節に合わせたキャンプ装備をしっかり整え、ベースキャンプを作ってから身軽な格好で川へ向かいましょう。
釣り方については、ルアーをチョンチョンと動かすトゥイッチで狙うのも楽しいですし、手軽に釣りたいならエサ釣りもおすすめです。ただ、どんな釣り方であっても、川に入る以上は必ず遊漁券(釣り券)を事前に購入し、ルールを守って楽しむことを忘れないでくださいね。
美味しさの分かれ道!絶対に外せない「下処理」
見事、美味しそうなヤマメやイワナが釣れたとしましょう。
山の冷たい水で育った渓流魚はとても綺麗ですが、そのまま火に突っ込んで焼くのは絶対にNGです。
美味しく安全に食べるために、以下の3つのステップでしっかりと下処理を行います。
- エラと内臓を取り除く: 魚の肛門からエラに向かってナイフでお腹を割き、内臓とエラを指で引っ張り出します。これらを残すと、焼いた時に苦味や生臭さの原因になってしまいます。
- 血合いを綺麗に洗う: 背骨の裏側に、黒い血の塊(血合い)がこびりついています。親指の爪を使って、川の水や水道水でゴシゴシと綺麗に洗い流しましょう。ここを怠ると生臭くなります。
- たっぷりの塩を振る: 魚の水分を拭き取り、全体に塩を振ります。特に、ヒレ(背ビレや尾ビレ)には「化粧塩」と言って、真っ白になるくらい多めに塩をすり込みます。こうすることで、焼いた時にヒレが焦げ落ちず、見た目が美しく仕上がります。
内臓を出したり血を洗ったりするのは最初は少し勇気がいりますが、「命をいただく」という大切なプロセスです。感謝の気持ちを込めて、丁寧に処理してあげましょう。
職人気分を味わえる!美しい「踊り串」の刺し方
下処理が終わったら、いよいよ串打ちです。
魚が川をクネクネと泳いでいるような、あの旅館で出てくるような美しい刺し方を「踊り串(おどりぐし)」と呼びます。
ただ真っ直ぐに串を刺すと、焼いている最中に身がくるくると回ってしまい、焚き火の中に落としてしまう悲劇が起きます。
踊り串は見た目が美しいだけでなく、魚を串にしっかりと固定して落ちにくくするという実用的な意味もあるんです。
【踊り串の簡単な手順】
- 魚の目(またはエラの下)のあたりから、竹串を少しだけ刺し入れます。
- 串を一旦、背中側の身(外側)へ出します。
- そのまま魚の体を「S字」に曲げながら、背骨を縫うようにしてお腹側、再び背中側へと串を波打たせて刺していきます。
- 最後は、尾ビレの少し手前で串がしっかりと身を貫通するように固定します。
慣れるまでは少し難しいですが、竹串をグリグリと回しながらゆっくり刺していくと上手くいきますよ!
僕の失敗あるある…「外はカリカリ、中は生」を防ぐ火加減
さて、ここからが本番にして最大の難関、焚き火での「焼き」です。
僕は渓流キャンプを始めたばかりの頃、ボーボーと燃え盛る焚き火の炎の中に、串に刺した魚をドヤ顔で立てかけました。
「おぉ、めっちゃ良い匂いがしてきた!」とテンションが上がり、表面が美味しそうなきつね色(というより黒焦げ)になったところでかぶりつきました。
すると……「冷たっ!中、全然焼けてないじゃん!!」
外は炭のようにカリカリなのに、中身は完全に生のドロドロ。泣く泣くもう一度火に戻すも、今度は身がボロボロになってしまい失敗してしまった経験があります。
焚き火で魚を焼く時の鉄則。それは『強火の遠火(とおび)』、そして『炎ではなく、熾火(おきび)で焼く』ことです。
炎が上がっている状態で焼くと、表面だけが一瞬で焦げてしまい、中まで火が通りません。
薪が燃え尽きて、炎が落ち着き、芯が赤くチロチロと光っている状態(熾火)を作ります。これが、遠赤外線をたっぷりと出す最高のグリルになります。
その熾火の熱が「手をかざして3〜4秒で熱いと感じる距離」に魚を立てかけます。
「ちょっと遠すぎないかな?」と思うくらいで大丈夫です。焦らず、じっくりと20分〜30分ほど時間をかけて、時々魚の向きを変えながら焼き上げてください。ポタポタと脂が落ちて、ヒレがピンと張りつめたら完成の合図です!
まとめ:自分で釣って、自分で焼く。これ以上の贅沢はない
渓流キャンプでの魚の下処理から、踊り串の刺し方、そして失敗しない焚き火の火加減についてお話ししました。
時間をかけてじっくりと熾火で焼き上げたイワナやヤマメ。
熱々の串を持って、頭からガブッとかぶりついた瞬間の、あの皮のパリッとした香ばしさと、ホクホクで甘い白身の味わいは、どんな高級レストランの料理にも勝る最高の美味しさです。
「朝早く起きて、冷たい川を歩いて自分の手で釣り上げた」という最高のスパイスが効いているからこそ、忘れられない味になるんですよね。
次の週末は、釣り竿とテント、そして少しの塩を持って、自然の恵みを心ゆくまで味わう渓流キャンプに出かけてみませんか?
熾火(おきび)を作るのって、実は結構時間がかかるんです。薪を燃やして炎が落ち着くまで、だいたい30分から1時間くらい。でも、この「魚を焼くために火を育てている時間」に、仲間と今日の釣果について語り合いながらビールをチビチビ飲むのが、キャンプの中で一番幸せな時間だったりするんですよね。皆さんも、決して焦らず、火とじっくり対話しながら最高の一匹を焼き上げてくださいね!
最高の焚き火飯を楽しむために、釣りの基礎知識やキャンプの寒さ対策をおさらいしておきましょう!

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